香港・土木工程処、AI土砂災害警報システムを開発 精度9割超で2026年全面導入へ


香港の土木工程処は、人工知能(AI)を活用して豪雨時の土砂災害発生件数を予測する新しい警報システムを開発した。
今年の雨季に実施した試験運用では、土砂災害(山泥傾斜)報告件数の推定精度が90%を超え、従来の約70%から大きく改善したことが確認された。新システムは2026年に全面導入される予定だ。
土木工程処の張偉文(チョン・ワイマン)処長によると、このシステムは職員が独自に開発したものであり、外部委託費などの追加コストは発生していない。張処長は「香港の土砂災害警報システムは、世界でも最先端レベルにある」と自信を示した。
このAIシステムは、1996年から2023年までの約380件の降雨および土砂災害データをもとにビッグデータ分析を行い、学習を重ねて構築された。5分ごとにデータを更新し、降雨状況や斜面特性に基づいて発生リスクをリアルタイムで推定する仕組みとなっている。従来型システムに比べ、精度と即時性が大幅に向上した点が最大の特徴だ。
香港では1977年の土木工程処設立以来、降雨と土砂崩れの関係を分析し、世界初の土砂災害警報システムを導入してきた。現在運用されている第4世代モデルでは、全ての人工斜面を「切土斜面」「盛土斜面」「岩盤斜面」「擁壁」の4種類に分類し、それぞれに個別の相関モデルを構築している。今回のAI導入により、これらのモデルは第5世代へと進化する。
さらに、新システムでは全体警報に加え、特定地域に対して「地域別土砂災害特別警告」を事前に発出できるようになる。局地的な豪雨が続く際、香港天文台と連携し、危険度の高いエリアを住民に周知することで、被害を最小限に抑えることが狙いだ。
張処長は「AIの導入により、警報発出の判断がより精密かつ迅速になり、市民の安全確保に大きく寄与するだろう」と述べた。

